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ノイズのある非線形システムに対する時系列解析
時間とともに不規則に変動する現実のデータから系の本質的な動きを探り,
必要な情報を抽出することは,
自然科学の分野だけではなく医学, 経済学などの分野でも必要とされる.
しかし, 測定データには必ずノイズが含まれているため,
抽出した情報が必ずしも正しいとは限らない.
本研究では, ノイズを含んだ時系列データから
統計的モデルのパラメータ推定をする方法(最尤法)に対して,
経路積分法(図1)を応用した解析手法を研究している(図2)[1-4].
図1. 様々な経路.
図2. 時系列データ xn からのパラメータ pの推定.
遷移確率の評価に経路積分法の技法を用いる.
本解析手法の基となったのは,
「モデル化による非線形力学系の予測, 制御」[5,6]である.
これは観測データ列に対してモデル運動方程式をたて,
そのモデル運動方程式を基に系の予測, 制御をおこなう方法である.
近年, 「状態空間モデル」[7]と呼ばれる
本解析手法とほとんど同じ手法が統計学の分野でも提案され,
経済など実際的な分野に応用され成功を収めている.
そこで, 状態空間モデルとの関連についても調べている.
本手法は, 経路積分法で条件付確率分布を評価したフィルタリング
(状態を測定値が与えられたという条件の下での条件付確率分布を導入し,
統計的に意味のある情報を取り出す手法)
による状態空間モデルととらえるとができる.
参考文献
- 岩崎 唯史, A. Hubler:
``遷移確率に基づいたカオス軌道の予測''
物性研究 vol.63 (1995) pp.749-753.
- 岩崎 唯史:
``遷移確率に基づいた時系列解析:ノイズを含んだデータ列からのパラメータ予測''
第3回情報論的学習理論ワークショップ予稿集, pp.135-139.
- Y. Iwasaki:
``Time Series Analysis Based on Transition Probability: Prediction from
The Viewpoint of Path Integrals''
Proceedings of The 2nd International Symposium on Frontiers of
Time Series Modeling, pp.220-221.
- 岩崎 唯史:
``経路積分法を用いた時系列解析''
電子情報通信学会技術研究報告 Vol.102, No.181 (2002) pp.19-24.
- A. Hubler and E. Luscher:
Naturwissenschaften, 76 (1986) 67.
- A. Hubler:
Ph.D. Thesis, Technical University of Munich (1987).
- G. Kitagawa:
``Non-Gaussian State-space Modeling of Nonstationary Time Series''
J. Am. Stat. Assoc., 82 (1987) 1032.
関連発表
- 岩崎 唯史, A. Hubler:
``遷移確率に基づいた運動方程式の再構成''
日本物理学会1994年秋の分科会 (静岡大学, 静岡, 1994年9月4日).
- 岩崎 唯史, A. Hubler:
``遷移確率に基づいたカオス軌道の予測''
京都大学基礎物理学研究所長期研究会「複雑系III」(京都大学基礎物理学研究所, 京都, 1994年10月6日).
- 岩崎 唯史, A. Hubler:
``ノイズを含んだデータ列からのモデルの再構築''
日本物理学会1999年秋の分科会 (岩手大学, 岩手, 1999年9月25日).
- 岩崎 唯史:
``遷移確率に基づいた時系列解析:ノイズを含んだデータ列からのパラメータ予測''
第3回情報論的学習理論ワークショップ (ラフォーレ修善寺, 静岡, 2000年7月17日).
- Y. Iwasaki:
``Time Series Analysis Based on Transition Probability: Prediction from
The Viewpoint of Path Integrals''
The 2nd International Symposium on Frontiers of Time Series Modeling:
Nonparametric Approach to Knowledge Discovery (Nara, Japan, 2000年12月15日).
- 岩崎 唯史:
``経路積分法を用いた時系列解析：統計的モデルのパラメータ推定''
日本物理学会2001年秋季大会 (徳島文理大学, 徳島, 2001年9月19日).
- 岩崎 唯史:
``経路積分法を用いた時系列解析''
電子情報通信学会・非線形問題研究会 (茨城大学, 茨城, 2002年7月4日).
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